浪の飾り瓦:ドクターキムルさんの旅行ブログ
飾り瓦は奈良や京都の大寺には必ずと言って良いくらいあり、その門前町の民家の軒や参道沿いの民家の軒にも多く見受けられる。また、稀に神社の軒にも見受けられ、神仏分離以前が偲ばれる。今見られる寺の伽藍や山門の飾り瓦は、数百年を経ているものも見えけられ、一方、民家の飾り瓦は時代が下がり、おそらくは明治期以降と見受けられ、戦後のものが殆どであろう。民家の棟の飾り瓦には魔除け的な意味や火避けの意味のほかに無病息災、家内安全、家運隆盛、商売繁盛など、庶民の願いが込められており、大国様や弁天様を始めとした七福神、天女、鐘馗(しょうき)などの人物像、鶴や亀、鳩や鷲などの動物像などが見られ、見て楽しい瓦である。一方、御所の瓦葺きの宮殿や塀、門には菊の花の飾り瓦が飾られ、仙洞御所や旧桂宮邸門には桃の実の飾り瓦が飾られている。また、寺の伽藍や山門の飾り瓦には唐獅子、獅子や亀、菊の花、桃の実などが多い。
飾り瓦のなかでは特に浪の飾り瓦に興味を引き付けられた。浪の飾り瓦には、そのモチーフがとても可愛い「水の妖精」をイメージさせるものが見受けられる。北鎌倉の円覚寺弁天堂の飾り瓦(江戸後期か)がその最初です。昨年(2008年)秋に見つけ、アニメの主人公に出てくるような愛くるしく斬新なデザインを一目見て感動しました。似たものには坂本滋賀院のもの(明治期か)や當麻寺(護念院のものは江戸期か。宗胤院のものは戦後の昭和期)があり、東大寺旧境内や境内、法隆寺にも見られます。最近のものではやや小ぶりな壬生寺のものがあり、愛知県の瓦屋さんにカタログ発注され平成19年に上げられました。
余談になりますが、若狭では戦前までの建物では鵄尾(しび)に似せた浪(水)の瓦が載せられ、現在では鯱に代わりましたが、古い建物にはその一部が残っています。建物を火災から守りたいという古人(いにしえびと)の気持ちが伝わってきます。
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