☆Vol.7☆ 始まりはカトマンズ。 〜7日目〜 スノウリ→バラナシ:ダイサクさんの旅行ブログ
「7日目 バラナシへ!」
朝7時前に起きる。気だるい湿気と室内に溜まった暑さが肌にべっとりとへばりついている。 シャワーを浴びてから出発の準備を整える。目的地はバラナシ。3000年以上の歴史を持つヒンドゥー教の聖地。この地で沐浴し、この地で死を迎え、輪廻転生から解脱するためにインド全土からヒンドゥー教徒が集まる聖地の中の聖地である。
あれは1年半前。初めての海外一人旅でインドを回っていた私は、約1ヶ月を経て、この聖地にたどり着いた。ガンジス川で沐浴し、ボートから日の出を眺め、日本人バックパッカーと知り合い、一緒に時を過ごし・・・諸々の思い出が詰まった地だった。バラナシに行くというよりは、 “戻ってくる”という表現が適当なのだと思う。
ネパールとインドとの国境を越え、タクシーを手配する。貸切だという約束だったが、途中、運転手の友達が乗ってくる。けたたましい音楽が鳴り響く車内でガンジャを吸うインド人。ぐんぐんと気温が上がる車内。途中、何度か農村で休憩し、車を整備しながら、バラナシにたどり着いたのは夕方16時過ぎだった。
バラナシに着いた僕らは人力車に乗り込み、ゴウトウリヤーを目指す。ゴウトウリヤーで降り、1年半前に泊まったプージャ・ゲストハウスを目指す。1年半前に訪れた時とたいして変わらないゲストハウスだったが、やはり室内がきれいになっていたり、屋上のレストランのメニューが大幅に増えていたりと変わった部分もあった。しかし、このバラナシという町自体の持つ、なんとも言えない雰囲気などは全く変わっていなかった。
部屋でシャワーを浴びてから、ヤマゲンと2人、プージャを見に行く。途中、客引きの男が言い寄ってくる。
「ハッパ、ハシシ、チョコ」
「カソウバミニイク?」
「サイババノオトウトイルヨ」
火葬場をヤマゲンが見ている間、夕暮れ時のガンジス河に見入る。
あれからの1年半を振り返っていた。
始めてのインド一人旅を経て、南米、オーストラリアに行った。卒論を書いて、大学を卒業し、社会人になった。ボランティアを始め、夏にはモロッコに行き、その後は忙しい仕事の日々を送ってきた。
ほんの一瞬、あっという間。そんな時の経過の早さに、急に寂しさを覚えつつも、無事にこうしてバラナシに戻ってこれたというような気持ちも湧いてくる。
ヤマゲンと2人、プージャが行われるメイン・ガートへ急ぐ。プージャは既に始まっていた。バラナシのガンジス河岸のガートで毎日催されるというプージャー。日本でも有名なバラナシでのプージャーは観光客向けに毎夜催されるのかとも思った。そういう商業的な面もあるにはあるのだろうが、それはわずかな部分なのだと思う。今後も、この地にはグローバル資本主義の波が押し寄せてくるだろう。だが、バラナシはその波を吸収し、うまいこと消化しながらも、ずっと変わらない場所でありつづけるのだろうと思う。同時に、ずっと変わらない町であって欲しいと願う。
プージャーを見終わり、少女が寄ってくる。強引な商売魂に押され50Rs程でお花を買い、河に流す。夜の河に吸い込まれていくその花を見送り、夜の町を歩いていく。道の両端にはバクシーシを求める乞食が居座り、手を差し伸べてくる。その横を宿へと戻る旅行者に混じり、歩いていく。日本語がとても上手な少年と仲良くなっていて、彼に色々なことを教えてもらいながら、アイスキャンデーを食べる。食べていると巡礼者のようなおじさんがアイスキャンデーをくれと言ってくる。食べているアイスを彼に手渡すと何事かを言って立ち去ってしまう。少年に聞くと「バカか」と言ったみたいだ。
なぜそんなことを言うんだと聞くと、人が食べてるものは汚いという考えがあるということだった(それがインドでのヒンドゥー教の教えなのかは定かではない)
その後、バラナシ大学で日本語を勉強するという男に案内され、ご飯を食べに行く。放送禁止用語を連発する彼にあまりいい印象を持っていなかったが、ヤマゲンがずっと話していることもあり、渋々着いていく。彼のお薦めレストランはゴウトウリヤーの先にある場所で、店の主人とも顔なじみのようだった。そこでご飯を食べるが、自分はラッシーだけを飲む。ヤマゲンがもりもり食べてはいるが、もしもこのご飯に何かドラッグが入っていたらと用心してしまったのだ。結果的に何も入っていなかったが、用心することに越したことはない。
バラナシは聖地である反面、危険な町でもある。夜のバラナシには出歩かないようにとガイドブックにも書いてある通り、この地で行方不明になる旅行者は多い。
宿に戻り、一人屋上のレストランでご飯を食べる。1年半前のバラナシでの思い出、今回の旅のこと、日本で再び始まる仕事のことなどを想いながら、夜の河を眺める。生と死が同居しているバラナシにいたからか、旅の最終日前日だったからなのか、なんとなく切ない気持ちを抱きながら、ガンジス河を眺めていた。
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