海南島長編秘話:渡部一太さんの旅行ブログ

海南島長編秘話:渡部一太さんの旅行ブログ

海南島長編秘話

  • 旅行記を見る
  • ブログに貼ろう

海南島事情1996
ゴルフ仲間で友人の五木さんが、先日知り合いの中国人ゴルファーに誘われて「海南島」に行ってきたと、写真を見せてくれた。
その景観は素晴らしく、又素朴でそして魅力的であったので、直ぐに旅行好きな仲間を集めて、詳しい報告を聞く事になった。
後に詳しく述べるので様々な事は省くが、居合わせた全員が海南島に行きたくなるには充分すぎる、情報の多さであった。

1996年3月某日
新装なったばかりの仙台空港から香港経由で「海南島」の海口市に向かう。
海南島はトンキン湾を挟んでベトナムの向い側に位置する、南北ベトナム戦では、一時期米軍と北ベトナム海軍が交戦した場所でベトナム戦争の勃発事件としても有名である。
そして海南島は中国では数少ない経済特区なのであります。

ビザの問題−1(日本出国)
さて五木さんの話ではビザは中国なのに現地の空港で取れる、と言うので事前取得はしなかった。
仙台空港で手続きの再係員が「本当に大丈夫ですか?ビザが取れなくても責任は負えませんよ」と気の毒そうな顔で首をかしげて見せた。
五木さんは自信満々に、「大丈夫、私この間行って来たばかりだから」と空港職員とにこやかに話した。

香港では
香港では時間の関係で一泊せざるを得ないので、「出来るだけ静かにホテルで過ごそう」と云う全員の約束事であったが、やっぱりと云おうか我慢できるグループでは無く、夜景にエキサイトして夜の町並みに繰り出してしまった。
中でも副野さんと大鍋さんは、楽しい遊び場の捜索に就いては動物的嗅覚に似た、洞察力があり「よしこの店に入ってみよう」といって訪問した場所は今までハズレた事が無いのだ。
今回も大きなキャバレー風の飲食店に総勢8名で入店。
席に座る前に当然の事ながら飲み代の交渉を行う事数分、阿吽の呼吸で残りの全員は進められても決して椅子には座らない。このアタリが実に旅慣れている。
さてこのキャバレーは交渉通りまとまって、実に気分良く飲んで歌って過ごす事になった。
おっと香港の事など詳しくは書いていられない、香港は過去に数度来ているのでこれぐらいにして置く。

ビザの問題―2(香港出国)
翌朝、香港の現地添乗員がバスで迎に来た、もちろん空港まで送る為である。
現地添乗員は流暢な日本語で「お客さんたちこれからどちらへ行きますか?」「海南島だよ」「そうですか海南島は中国のハワイと云われています、素晴らしいところですよ」
すかさず最年長の石黒さんが「日本円は使えるの、どんな事に注意すれば良いの、ビザは現地で取れるの」と矢継ぎ早に質問する。
「エッ・・・ビザが無いんですか」・・・しばらくの沈黙「多分入国できないと思いますよ」
青ざめる五木さん、「でも私最近行った時空港でビザ取ったよ」「ええ一時期は良かったんですが今はうるさくなっていますよ」・・・五木さん明らかに狼狽する。
しかし大物そろいの我がメンバーは少しも騒がず、先ずは副野さん「な〜に入国できなかったら変更して台湾でも行けば良いさ」
大鍋氏「行くだけ行って見れば良いさ、命までは取られないだろう」とこれまた大物の台詞。
「そうだな強制送還なんて云ったって、飛行機が無ければ返されないし、オモシロイネ」などと次々に豊かな表現で五木さんを支える。
これには五木さん「謝々、シェシェ」と気分も新たに顔色良く、早くも中国語?で対応する。
さて香港出国の際は又しても空港職員からビザ無しを咎められる。
しかし既に腹の据わったグループは笑顔で一蹴する、曰く「無問題、モーマンティー」と。

ビザの問題―3(入国手続き)
目的の海口市に着く、建物は小学校の物置(失礼)程度で非常に親しみ易い規模。
これなら何処からでも抜け出す事が出来そうだ、心持安心感が漂う。

・・・しかしやはりビザの取得は一筋縄ではなかった。
と云っても手続き的に取得できないのではなく、これから記すが窓口の混乱による物で、心配した発給しないと言うことではない事が分かりほっとしたのもつかの間。
我々のようにビザ無しの連中が数グループ居たのである。
見渡すと韓国人10名ぐらいのグループ、日本人の商社員らしき二人連れ、人の良さそうなアメリカ人(らしい)夫婦、香港や台湾から来たらしい個人の5〜6名とそれに我々8名。
カウンターの位置確認に手間取った我々はとりあえず一歩後退。
凄まじいのは韓国人のグループと、中国人の個人旅行社の熾烈な順番無視の戦いであった。
様々な海外旅行を経験している諸兄は既にお分かりでしょうが、とに角韓国、中国には恐らく順番とか譲り合いなんて言葉は無いのでしょう。
例え有ったとしても、それは守ったり譲ったりは恥ずべき行為になっているのでしょう。

ビザの問題―4(熾烈な順番争い)
大声でだれかれ怒鳴り散らして第一順位を獲得したのは韓国グループだった。
しかし中国グループの抵抗も相当な物で、一歩も引く気配は無かったが所詮は多勢に無勢、10人にまとまってわめき散らされ敢え無く二番手に後退。
しかしながら時間の掛かる事おびただしい、全てが手書きなんである、お〜い何でも良いから早くしてくれ〜
と我々の悲痛な叫びも罵声にかき消される。
5〜6名いた個人の旅行者と見られる連中はそれでも各々第2順位を獲得して、余人の入る隙間は無い。
日本人商社員は慣れで第3順位獲得・・・それにしても相当の時間が経っている。
アメリカ人夫婦長い手を利して第4順位獲得、この頃になるとなんとなくお互いに親しみが湧いて、夫婦のビザ取得に我がメンバー全員で祝福の拍手を送る。
夫婦も手を上げて祝福に答え「グッドラック」と言って出口に消えた。
云うまでも無いが我がグループは、鼻の頭に大汗をかいて奮闘してくれた五木さんの努力も空しくがっちり?としんがりを確保したのでした。
そして全員が取得したので盛大な拍手をする、税関の職員も思わず大笑いしている。

出迎え
我がグループがビザ確保に掛かった時間は、これまで飛行機到着後およそ一時間になろうとしている。
入国審査のカウンターに並んでいると、衝立の向こう側から係員の制止を振り切って、長身を利して上のほうから顔を出して、「イッキーさ〜ん」と大声で叫んでいる人がいる。
五木さん思わず「ニイハオ・ニイハオ・ニイハオ×10」よほど嬉しかったのでしょう。

入国
いよいよ入国の時が来た。
空港の外に出る、案外とすがすがしく、南国特有のムットする感じが無い。
出迎えてくれたのは五木さんが前回来た時に知人に紹介された「楊さん」である。
メンバーは次々に握手した。日本語の分からない「楊さん」は通訳として現地の旅行者に勤務する「方」さんと言う女性を伴ってきた。
当然の事メンバーは争って握手するが、その後ろにあと一人中年の女性が立っている。
そのままバスに向かうがその女性も一緒に付いてくる。昨年のベトナム旅行中、何処に行っても物乞いが多く、一瞬いやな光景が過ぎる。しかし何処と無く品格が有り物乞いには見えない。
バスに乗り込むと早速質問魔の石黒氏が「その方はどなた」と「方」さんに尋ねる。
あっさりと「「楊さん」の奥さんです・・・・と言うのです。
物乞いなどと失礼致しました、奥さんはその後我々の旅行に随行して常に最後尾を歩いて、さりげなくガードをしてくれたのです。
「楊さん」は身長が高く常に紳士的で好感の持てる方でした、又奥さんは中国人には珍しく丸顔でなかなか魅力的な美人でした。
余談ですが我々と旅行中に奥さんは日を追って輝いて行き、一方「楊さん」はお疲れの様子が伺われたのです。これはおそらく久し振りの旅行に、一方的に奥様がハッスルした結果で、「楊さん」はその犠牲になったのではとうがった推察したのです。
通訳の「方」さんは細身で小柄な女性です、ご主人は職業軍人で現在はアモイに配属されているとの事でした。彼女は常に真面目な面持ちで我々に接してくれて、実に頼りになる存在でした。

海南島について
総面積は日本の四国とほぼ同じだそうだ、定着していると思われる人口は約600万人で流動人口(いつどんな方法で来島して、何時離島したのか不明)が約1割で60万人程だと説明を受けた。
さすがに中国である10億人を超えると50万や60万人の出入りは問題にならないのだろうか、ガイドの「方」さんはこともなげに語った。
又経済的には特別区域となっており、将来は第2の香港マカオを目指して、カジノ付きホテルなども計画されているそうだ。むろん日本円は大通りで使う事が出来る。
しかし両替率はまちまちなので、信頼できるホテルで両替するのがベターのようである。

酒店の事
酒店と書いて意味はホテルのことだそうだ、これが台湾に行くと飯店になるので同じ中国でもどこかが違う、やはり台湾は台湾であって、中国とは異質の国だなんて、これだけで難しい国際問題を語る積りはないが、ところ変わればナントやら随分違うものである。
さて我々の泊まったホテルは実に素晴らしかった。ほとんどのメンバーが建築関係に携わっている関係上建物には皆詳しい。
外観のデザイン、ロビーの重厚さに驚いた。
しかも従業員の接客態度が良い、本当に中国かと疑いたくなるような雰囲気だ。
いままでに何回か北京や上海に行った事はあるが、中国人のお約束というか、愛想笑いなし、物は売ってやる事は教えてやる、ホテルは泊めてやる・・・・と横柄な態度が当たり前なので驚いた。
しかも広いロビーにはあちこちに美的少女が群れて見え隠れしているではないか、益々この先が楽しみだ。
しかし残念ながらこれは我々の誤解で、美的少女群はホテルの客で期待はあっさりと消滅した。

世界的カラオケの存在
かくもアジアではカラオケが流行るものか、有りました海口市にも。
通訳の「方」さんに従って歩く事数分で、日本風に云えばクラブ様の店、中には正面にステージが設けられ、客席にはボックスシートが10席ほどある。
ステージの前はダンススペースで数人の先客が(台湾人らしい)がスローな局に会わせて踊っていた。
暗い席に座ると直ぐに30曲ほど入った歌詞カードが配られ、そこから選んで歌えとママさん風の女性に促される。
有った「北国の春」五木さんさんが嬉しそうに一番乗りでリクエストする、彼の唯一中国語で歌えるレパートリーだ、但し一番だけ。
余談だが私は昨年部下が中国人と結婚したため、上海から更に飛行機で福州と云うところに行き、更に車でぶっ飛ばして6時間掛かって、山三という田舎に行ったがそこでもカラオケルームがあり、お約束の「北国の春」が唯一日本の歌として存在していた。

カラオケルームの奥
数分すると先程のママさん風の女が出て来て「奥にどうぞ」らしく手招きする。
何なのだ、どうなってる?どうしよう中国だぜここは・・・・怪しいぞ、奥に行ったら怖いお兄さんが出て来て簡単に10万円頂きますなんて話、どこかで聞いた気がするな。
グループの会長内海氏がのんきな声で「ここまで来たんだから入ってみようじゃないか」と決断を下す。
狭い部屋に押し詰められた格好で、折り重なってソファーに腰掛けたその時、「ニイハオ」と若い女性の挨拶の声が聞こえた。
一斉に入り口のドアー付近を見ると、着飾った若い娘が3人ほど立っているではないか、それも中々の美的少女揃いである。
その後次々に美的少女達は「ニイハオ」と挨拶に来てくれる。
ママ風の女はパートナーを選べと急かせるが突然の事に、選びかねていると普段は静かな福山さんが「ニイハオ」とお返しのご挨拶をするのでつられて全員がご挨拶。その場がなごんだところで、再び広いホールに今度はパートナーを連れて戻った。

ホテルの朝
さてカラオケの後、個人的に何が有ったか知る由も無いが、朝食を食べながら副野さんが「皆さん私は昨夜リーチ一発大三元、白をツモってしまいました」と発表するのです。
「ホーそれは珍しいね良かったね」「いやホンと、手のひらや足の平を想像してみて」
「とにかくツルンとしているのさ」と事細かく報告するので全員が大笑い。
すかさず大鍋さんが「それは大変だね、でも中でなくて良かったね」とチャカすので益々の大笑い。
追い討ちをかけるように渡部さんは、「僕なんかモンモーでした、何を書いても読めない、分からないの一点張りで本当に困った」「名前も書けないと言うくせに、金銭的要求だけははっきりと言うんだ」笑い
更に「副野さんは白と言うけどこっちはリャンソーだよ、それも限りなく白に近いリャンソー」大爆笑は続く。
ホテルの従業員も余りの笑い声につられて大声で笑う、それを見て我々が又笑うという繰り返しがしばし続いた。
注:この項は麻雀が理解できないと分かりづらいかな、深く考えるヨロシ、ワカルアルカ?

究極的下水折れの実態
「下水折」と書いて甚だ表現し辛いが、男性自身が役に立たない状況を意味するらしい。
理由は様々だがパートナーが大三元だったり、昨夜の深酒のせいや疲労だのが原因する事が多い。
ともあれ「下水折」とは云い得て誠に分かりやすいではないか、しかして反対にすこぶるお元気の場合「下水立」と書くそうだ、益々納得する漢字文化バンザイだな。
この事実は昨夜のパートナーには筒抜けで、いくら見栄を張って「昨夜は久し振りで頑張ったな」「食前食後のペースだったな」なんて云ってもダメなんです。
相手はその事実に興味が有って、仲間内で横の連絡をしているのです、見栄を張った石黒さんはパートナーに「下水折」と書かれて敢え無く頭を垂れたのです。
予想したところ「折」組は石黒さんと渡部さんである、ところがあにはからんや、渡部さんはパートナー達のメモには「立」と明記されているではないか。
意外だねと本人に尋ねると「皆さん死んだフリと云う言葉を知っていますね」、ええもちろん。
「私は皆さんのご想像通り「折」でした」爆笑」「しかしあまりにパートナーが気にするので、素早くヘルメットを自分で外して、フリをしたのです」・・・・大爆笑、伊達に歳はとってないね。
この項は余り書きすぎるといやらしくなるのでこの程度で。

公安の話
何処の世界にも楽しい部分が有れば、厳しい状況も当然存在する。
海口市では公安(日本で言えば警察か)がそれである。特に麻薬と売春には厳しく対処していると聞く。
そういえば海外情報で新聞に、麻薬と売春に関わった1000人以上もの人が、中国国内法によって処刑されたなんて記事が載っていたっけ。
2,3年前にわが国の田舎の議員先生が、酔った勢いでエレベーターに乗り合わせた女性のお尻をタッチして、国際問題に発展した経緯が有った。海口市でもお金持ち(私は貧乏だが)の日本人がターゲットになるケースが多く、度々事件になるそうである。
二日目の朝、朝食中に通訳の「方」さんが憂鬱そうに切り出した。
「実は先程情報が入りまして、今日、日本人をターゲットに公安の取締りがあるそうです」「しかしどのホテルなのかは分かりません」
「万一私達のグループでしたら、暮々もお願いしますが、私や、楊さんの名前は出さないで下さい」
「外国人は罰金刑で済みますが、相手をした女性は少なくても3年は刑務所に入れられます」
「仲介した人は何年入れられるかわかりません、絶対これだけは守ってください」と彼女にしてはクドクドと云うのです。
市内観光が終わり、ホテルに到着すると又してもその話である。
「公安が来る時間は、夜中の1時から朝方までと決まっています」「もし彼女が居る人はその時間には必ず返してくださいね」「皆さん忘れないで下さいね、私や楊さんの名前は絶対に出さないで下さいね」
これは相当な情報が入っているな、さすがに一同シ〜ンとなった。「今夜は酒だけにしよう」と云う石黒氏の提案に「そうだね」と全員がうなずいたのである。

それはそうなんだけど
良くも悪くも酒とは雰囲気を明るくするもの、呑むほどに酔うほどに「方」さんの忠告など吹っ飛んでしまった。
「エーイ矢でも鉄砲でも飛んで来い、罰金で済むならスチャラカチャンの無問題、無問題」といったかどうかは忘れたが、明らかに箍は外れてしまった。
その時事件は起きた
メンバー中最も若い近石さん(40歳)は皆で一つの部屋に集まって飲み直そう、という誘いを断って自分の部屋で、若いパートナーと余韻を楽しんでいた。
相手は中々の美人で字も書けるし読める、その種の女性には珍しく英語も多少は理解するので昨夜から、連絡を取っていた模様である。近石さんはじっくりとコミュニケーションを図り、すっかり打ち解けた結果見事に「下水立」・・・・その余韻を楽しんでいたのでした。

突然電話が鳴る
「ルル〜ン・ルル〜ン・ルル〜ン」部屋の電話が鳴った。「ハイ」といって出ると「近石さんだね」とくぐもった聞き覚えの無い声が続く・「前の部屋に内海と大鍋が居ます、直ぐに来なさい」と怪しげなイントネーションで一方的に電話を切った。
ドヒャー公安の手入れだ、一気に我に返った近石さんは、心臓の鼓動が高まり、家族の顔が浮かんだそして膝頭がガクガクと震えて、立っていられないほどのショックを受けた。
「あ〜あこんな旅行来なければ良かった、言葉の分からない異国の刑務所に入れられる位なら、いっそホテルの窓から逃げようか」・・・事態はかなり深刻であり、余韻など一変してしまった。
それでも近石さんは気を取り直して、すばやくメモに[公安]と書いて彼女に渡した。それを見た彼女は真っ青になって狼狽した。直ぐに彼女に何がしかのチップを渡して、風呂場に隠れるよう指示した。
でも待てよ部屋に来られたら見つけられて言い訳のし様が無い、踏み込まれたらアウツだ。
そっとドアーのマジックアイを覗くと誰も居ない、今がチャンスだ彼女の背中を押すようにして部屋から出す。
とりあえずホッとするが、様々な証拠を隠滅する必要に気が付く、公安と書いたメモは細かく砕いてトイレに流す、「そうだ使用済みのヘルメットが有る」(結構冷静になって来た)・・・仕方が無いティッシュに包んでポケットに入れる。
一通りの作業を終えたとたんに又しても、「ルル〜ン・ルル〜ン・ルル〜ン」と電話が鳴る。

万事休すだ
又も怪しいイントネーションで「アナタ部屋、オンナ居るね」と言うので、「いや居ませんよ」と証拠隠滅したつもりでツッパルと、「今、オンナ部屋出たワカテル」「すぐ前の部屋来なさい」・・・・・アア神様・・・膝が鳴る、喉が渇く、又しても家族の顔がちらつく、今にも涙がでそうだ。
暫く自問自答した結果、覚悟して部屋のドアーを開けると、廊下に「方」さんと「楊」さんが真面目な顔をして立っている。これは決定的だ二人とも顔色が良くない様に見える。
恐る恐る向かい側の部屋のドアーを開ける。

何か違うぞ!
開けてみると何か雰囲気が違うぞ、しかし精神的に極限までイッテしまった近石さんが理解するまでには、数秒の時間が必要だった。
部屋全体が宴会風だと気が付くまでにはそれでも1分とは掛からなかった。
先ず電話機にティッシュペーパーを巻いた丹波さあんが「イッヒッヒ」と笑っている、内海さんと副野さん大鍋さん、それに渡部さんそれぞれ美味しい酒に出来上がっている。
「ハメられた」と理解したとたんに悔しい思いよりも、何よりも立っていられないでその場にしゃがみこんでしまった近石さんは、目元も明らかに潤んで暫くは放心状態で有った。
内海さん曰く「個人行動はヤメルヨロシ、ワカルアルカ」居合わせた全員「ワッハッハッハ」と高笑いすると、ようやく我に返った近石さんも一緒になって笑ったのでした。

第2の事件
次の朝又事件は起こった、五木さんは初日の下水折を挽回する決意で、香港で手に入れた飲み薬と怪しげな塗付剤を手にして、今日こそは「立」と宣言した。
その結果はとも角、朝になって約束のチップを渡すと、「金銭的更多額我欲」と書いたかどうかは不明だが、もっとくれと要求するではないか、頭に来た五木さんが「友人皆同額約束一律二百元」と答えると、「205号大人500元良心的大先生」と来た。こうなったら意地でも余分に払うものか、と知らんフリを決め込むと、パートナーはどこか分からぬが電話をして何事か暗い顔をして話している。
五木さんは話が付いた積りなので知らん顔をしていると、突然彼女が受話器を渡すではないか。
何処に掛けたか分からないので恐る恐る「もしもし」というと、相手も「もしもし」と言うのだが声に聞き覚えは無い。もう一度「もしもし」と言いながら相手の声を確認しようとするが、何せ性能が劣る受話器でどうしても確認が出来ない。仕方ないので「あなたどなた」と言ってみた。
実は相手はチップ違反をした205号の丹波さんの部屋でした、丹波さんにしてみると聞き覚えの無い声で「もしもし」「あなたどなた」と聞かれ昨日の公安事件が本当に来た、と思い込んだのです。
一方の五木さんはあいてがは分からないが女性同士なら分かると思って「もしもし女性が居るでしょう」と言った。
実はその後続けて私五木ですがと言う積りだったのですが、すっかり公安と思い込んだ丹波さんは、昨日は自分のイタズラで楽しんだのも忘れて、皆まで聞かずにガチャンと電話を切ってしまったのです。

チップ違反の功罪
直ぐに公安と書いてメモ紙を女性に見せると、何を勘違いしたか女性もギョっとした顔で青くなって、アタフタと部屋を出て行ったのでした。
電話を途中で切られた五木さんは、びっくりして直ぐに女性に命じて電話を掛けなおして、「もしもし」・・・・・・・・
部屋に女性が居ないので少しは落ち着いた丹波さんは「私の部屋には女性は居ません」と言って又してもガチャンと切ってしまった。
丹波さんは時間を確認すると早朝6時半だ、こんな早い時間には、やっぱり「公安」に違いないと、落ち着いて証拠の隠滅を図ったのであります。
そして朝食の際丹波さんは「今朝は私の部屋に公安から電話が有ったよ」とあんなにビクついていたのに、「面倒だから電話を切ってやったよ、もちろん女性は手際よく部屋から出してさ」と得意げに話しました。
一通り話を聞いた後で五木さんがすまなそうに・・・「丹波さん電話は私です」「丹波さんがチップを500元もあげるものだから、私のところでモメてしまって・・・そうかやっぱり丹波さんの部屋か」一部始終を五木さんが話し終えると、チップ違反と狼狽が一度にバレてしまった丹波さんは、深く頭を垂れたのです。
このとき一際大きな声で楽しそうに笑ったのは、言うまでも無い一昨夜丹波さんにハメられた近石さんで有った。
丹波さんはチップ違反えお犯した為、メンバーに頭を下げ公安で震え上がったのでした。

少数民族の話
ここ海南島では海口(はいこうと発音)市と三亜(さんやと発音)市を除くと、そのほとんどは山間部に住んだり、農村部に大昔から土着している、所謂少数民族と言われる人々で構成されている。
生活様式はかたくなで、決して体制にはとらわれないそうだ。
さて我がメンバーにも1名、大変かたくなと言うべきか、又はガンコというべきか、およそ流れにとらわれない我が儘な方がいらっしゃいます。
その名も石黒さん、最年長である。但し石黒氏の名誉の為に予め申し上げておくが、好きか嫌いかと尋ねたらメンバー全員一呼吸も置かずに「好きだ」と答えるいわば異色の存在である。ではどの程度我が儘かと言いますと。
バスで移動中に有るとき高級車のベンツが追い越していきました、すかさず石黒さんは「誰だあの車に乗っているのは、「方」さん誰?」「方」さんは答えようも無く「・・・・・・・」、「あんな良い車に乗ってるのは誰だ!「方」さん、「方」さん・・・・・」と通訳の「方」さんが返事をするまでコールは止まない。「方さん、方さん、、、、」
「方」さん考えた末「お金持ちじゃないでしょうか」と返事をすると、アレと思うほど簡単に「アアッそう」と言って別の方角を観察する。
「冗談じゃないよ誰が乗っているか分かる訳ネーヨ」と陰の声が聞こえる。
休憩所にバスが止まる、居眠りをしていた石黒氏、おもむろに店員に向かって「チンタオビージュー」と勝手に注文する、明らかに店員は大騒ぎして責任者らしき人に相談に行く。誰が見てもその銘柄が無い事は、一目瞭然だが、石黒氏はヘッとも思わず店員の誰彼構わず「チンタオビージュー」と言い放つ。
とうとう「方」さんがやって来て「石黒さん同じ中国でも広いので名前は聞いた事があるそうですが、ここにはその銘柄は無いそうですよ」というとまたもやアッサリと「ああッそう」と言ってあきらめる。
さて食事が出てビールを飲むとその言動は益々エスカレートして、「方」さん、「方」さん・・・始まった「方」さんは質問攻めで食事が出来ない、曰く「この料理の油は何を使っているか聞いてみて」、「日本の住専問題どう思うか「楊さん」に聞いてみて」、「台湾をどう思う」、「方」さん体重は何キロ」構わず愚問の嵐である、気の毒な「方」さんごめんなさい、石黒さんは良い人なのですよ、ただ他の人よりすこしだけ好奇心が旺盛なのです。
我々の仲間内ではこの人を少数民族と言います、本当の少数民族の方たちごめんなさい。

突然
「私泳ぎたい」といい始めた、少数民族氏で有ろう事間違いないのです。
他の人たちは「又始まった・・・勝手にしろ」とばかり聞こえないフリを決め込むが、例によって「方」さん、「方」さん〜〜〜と返事を貰うまで主張し続ける石黒氏。
ついにお手上げで、最寄の砂浜で小休止をする事にして停車する、降りたところは丁度マリンスポーツの貸し出しをしている、日本で言えば海の家が4,5軒並んでいた。
全員右手の水上バイクを見に行くが、件の石黒氏勿論行動は別で、止む無く「方」さんとその他でマリンバイクを見に行き、石黒さんは無理やり運転手をパートナーに、海水パンツに着替えて左手の海に浸かりに行く。
何事にもめげない石黒氏に「ほんとにワガママだねー」と顔を見合わせる。
しかしこの海岸は思ったよりきれいで、素晴らしかったのでした、砂浜の砂はあくまで白く、我が県の海水浴場には何処を探しても見当たらないぐらいの綺麗さであり、すっかりワガママンの事など忘れて水上バイクを借りて楽しんでしまった。石黒さん有難う・・・アレ?

物騒な事も
この海水浴場の沖合いには軍艦が停船しており、何かミスマッチな感じはしていた。
マリン遊びも終わってそろそろバスに戻ろうかと行っていた、午後4時ごろ突然「ドドド〜ン」といって主砲をぶっ放したのであります。
沖合いの左側に有った島に、その瞬間モウモウと白煙が上がりやがてその煙は島全体を覆ったのです。
とのかく一通りの衝撃ではなく、地響きを伴っているのです。演習であろうが凄まじい物であった。
しかも数分すると又しても「ドドド〜ン」と放ったのでした確かに軍事国家だな。
少数民族氏はこんな時にも涼しい顔で砂浜で甲羅干ししていました。
再びバスで移動を始めると、「アッあの店何か売ってる、見たい、見たい「方」さん、「方」さん」とか「今通り過ぎた子供が手に何か持って売ってた、停めて「方」さん」と相変わらずワガママの言い放題。でも居眠りしてただバスに乗ってるのも芸が無いね付き合おうよ。

リーダー内海氏の人柄
アイディアの豊富な人である、それは特に遊びにかけては天才的なのです、次々と遊びのアイディアは湧いて来て、今回の旅行の帰りには早くも次回はダッカ・ゴラン高原かカンボジアプノンペが良い、等と思いも依らない場所を指定している。
正確は比較的温厚で、言語はかなり個性的で地方色豊かな某が浜弁を誇り高くお話しになり、時としてそれは日本語にも関わらず通訳が必要になる。
しかし何事にも歯に衣着せぬので理解し易く、好感を持たれる。はっきり言って無類の女性好きである、女性の為なら有りとあらゆる方法手段を選ばない、多分「ワン」とも鳴くだろう。
テレクラ、ソープ、マントル、ホテトル、ロシアトル、ベトトル等々何でも良くご存知であり、情報の全ては実践済みである。
「快楽嬉々的追求状況探索」よろず研究熱心である。
仕事は言うまでも無いが非常に熱心で、経営する会社も優秀な業績を上げている、「仕事を賢明にして思い切り遊ぶ」が持論でその仕事振りは頭が下がる。
親しみ易く、おおらかで、まるで中国大陸の様なリーダーに託して次回も楽しい旅行を願うものである。
旅とは事細かに行く先を決めて、その通りに踏襲するのも良いが、私達は行きと帰りだけを決めて、道中は全て気の向くままあるく、こんな旅が好みである。
1996年










エリア: アジア >>中国
テーマ: 特になし・その他(観光)
時期: 1996年03月09日〜03月16日
投稿日: 2006年08月22日
写真: 全5枚
満足度: 評価なし
観光: 評価なし
ホテル: 評価なし
グルメ・レストラン: 評価なし
ショッピング: 評価なし
交通: 評価なし
この旅行の手配内容を見る

中国 旅行記ランキング参加中!!

この旅行記は現在 --)です。

投票するには、ログインしてください

この旅行記と近い旅行記

掲示板

現在、コメントの書き込みがありません。

トラックバック

この旅行記のへのトラックバックURL

http://4travel.jp/tcs/t/tb/album/10086072/d28bcfba94a76a79310ecda0aaecca9f
この旅行記へのトラックバック記事

現在、トラックバックはありません。

渡部一太さん 写真
渡部一太さん
  • 誕生日:08月07日
  • 登録:2006年03月26日

アクセス数

海外渡航地図
(全3ヵ国

国内訪問地図
(全0都道府県

投稿件数

投票獲得数

  • ・旅行記:8
  • ・クチコミ:0
  • ・QA回答:0

フォートラベル モバイル

QRコード
URLを携帯に送信!
@
フォートラベル モバイル ガイド

おすすめサービス
お花見スポットガイド
国内テーマパーク

中国のトップページへ 閉じる