2009/08/27 - 2009/09/27
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べるつくさん
福井晴敏「Op.ローズダスト」2006年刊。「Op.」はオペレーションと読みます。
乱歩賞受賞作も含め、防衛庁情報局ことダイスシリーズで現代日本を舞台にスペクタクルを書いてきた著者がお台場を舞台にさらなる展開を見せた一大長編です。
ダイス所属の若者ともっと一般的な部署の中年が主役という今までのパターンはこの作品でも生きていますが、中年が警視庁の公安部の警察官とあって、警察小説として読むこともできました。
冒頭は赤坂ですが、舞台のほとんどはお台場です。お台場小説といってもよいほどで、特に文庫の下巻はほぼ全編お台場でのアクションの連続です。その中で主人公の朋希と、もう一人の主人公の並河警部補の娘である恵理が横浜港大桟橋にやってくるシーンがあります。ここのシーンだけをピックアップして舞台を訪ねてみました。なので本の写真もそのシーンが出てくる中巻のみで。
なお例によって舞台となる場所のマップを作りました。ほとんどお台場といいつつ、まめに拾ってみると新潟や富士の裾野なんかも出てくるのでけっこう広範囲となりました。
http://maps.google.co.jp/maps/ms?ie=UTF8&hl=ja&msa=0&msid=111273679200362025208.00046c97288c04bc1711e&z=8
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「レンガ造りの趣を残す合同庁舎、神奈川県庁の建物を横目に海側へ向かうと、岸壁から突き出す奇妙な形状の建物が見えてきた。」
作品刊行時は象の鼻パークはまだできていませんでしたが、実際にはあまり街中を歩いていて目に留まるような位置にはありません。客船を主役にするために高さを抑えているためです。これは赤レンガパークからの写真です。 -
「一見するとホールのようだが、屋上部分には芝生が植えられており、ガラス張りの玄関に通じるアプローチは舗装されているものの、他の部分は土を盛りつけたかのような灰茶色で統一されている。」
大桟橋の建物の玄関まではゆるいスロープの上りです。赤いくつ号などのバスもこの舗装路を玄関付近まで来てぐるりと周回します。 -
「近づいてみて、そこが実際に桟橋であることがわかった。国際客船ターミナルとして、横浜港に入る大型客船の発着場所に使われている横浜大さん橋。明治の昔から海の玄関口を務めてきた旧大さん橋は11年前に解体され、4年前にイベントホールを内包する現在の大さん橋が完成したのだという。」
ウッドデッキは木のトゲにご注意。特にはいはいするお子様など。
ちなみにこのターミナルは日韓ワールドカップのあった2002年の完成でした。なので作品の中の時期は刊行と同じ2006年の話ということになります。 -
「斜面にそって本物の芝生が植えられているところは、ちょっとしたゴルフ場に見えなくもない。」
夏場は青々としている芝生ですが、1枚目の写真のように冬場は枯れ気味だったりします。 -
「右手には《氷川丸》を前景にした山下埠頭と、」
左端に日本郵船氷川丸、その近くにマリンタワーが写っています。 -
「横浜港を横断するベイブリッジの高架。」
視界がはっきりしませんが、奥にぼんやりみえているのがベイブリッジです。 -
「左に目を向ければ新港町の埋立地が広がり、かつての赤レンガ倉庫と横浜海上保安部の近代的な建物が同時に視界に収まる。その向こうに大観覧車が聳え、みなとみらい21の高層ビル群が立ち並ぶ光景は、お台場ほど浮き世離れはしておらず、かと言って人の生活を感じさせもしない。」
お台場小説といってもよいほど、お台場がメインの舞台の小説ですが、それとの対比としてここみなとみらいをちょっと舞台にしてみたというところでしょうか。
そういえば臨海署シリーズで知られる今野敏にもみなとみらい署を舞台にした単発の作品があります。 -
「横浜海上保安部、港湾合同庁舎、赤レンガ倉庫。約300メートル離れた対岸の建物を順々に見据え、次いで神奈川県警や税関の建物が建ち並ぶ海岸通りに目を転じる。」
一気に緊迫する場面です。ネタバレになるので詳細は省きますが、風船ひとつが効果的に描写されるところです。でもみなとみらいで子どもが風船もってるとするとけっこうアンパンマンの風船だったりします。 -
「現在位置は、大さん橋ホールの天井部分。前後左右に障壁はなく、ホールの玄関口に続く階段に駆け込むにしても、50メートルは走らなければならない。定間隔に街灯が立ってはいるが、相手の位置もわからないのに、そんなものがなんの役に立つ?」
三方を海に囲まれた見晴らしのいい場所であるということは同時に・・・ -
「『まだ県警にいます。』」
その後朋希は恵理と別れたままとなりますが、恵理は神奈川県警に向かいます。このビルが大桟橋から見た県警の建物です。 -
「がらがらと賑やかな音が頭上を行き過ぎ、蛇がのたうっているかのような高架をジェットコースターが滑り落ちてゆく。その向こうに聳えるのは世界最大級の観覧車、コスモクロック21。」
恵理を残して一功に従った朋希が連れてこられたのはさして離れていないコスモワールドでした。 -
「エントランスに掲げられた『よこはまコスモワールド』の文字も視界に入れた朋希は、睨む目を一功に据えた。」
実際の入口の表記はアルファベットですね。それとも昔は和文だったっけ? -
「「行けよ」
「・・・ふざけろ」
休日は行列ができるのだろう観覧車の入口は、いまは人の姿もなく、行列を仕切る手すりが立ち並ぶ待ち合い場はがらんとしている。」
男二人で観覧車に乗り込んでゴンドラの中で話を聞かされます。 -
「よこはまコスモワールドから運河沿いの堤防に降り、国際橋の下をくぐって少し歩くと、新港パークと呼ばれる公園にたどり着く。」
この矢印は昔からはなかった気がしますが。 -
「新港地区の一画、運河と海の両方に面した岸壁を緑地化し、ベンチを並べただけの簡素な公園だ。」
万葉の湯まわりの緑地がここで舞台となっている新港パークです。みなとみらいの中ではマイナーな場所な気がします。 -
ちなみにこちらはインターコンチから見た新港パークです。別にこういう視点が出てくるわけではありませんが、海沿いの緑地というのがよく分かるかと。 -
「スイカを切り分けたといった形状のグランドインターコンチネンタルホテル、」
作品中でもう18時過ぎで、すっかり日も暮れているので夜景の写真で。 -
「3つのビルが棟続きになったクイーンズスクエア、ひときわ巨大な高層を際立たせる横浜ランドマークタワー。」
クイーンズスクエアはスヌーピータウンショップがある場所としておなじみですね。 -
「闇夜を染めるコスモクロック21のネオンを背に、一功はゆっくり近づいてくる。」
このあとの印象的なシーンまでが横浜を舞台とした場面です。文庫版では各冊500ページ近い上中下巻のうちのわずかな部分ですが、なじみの風景がしっかり描写されることもあって印象的なところでした。
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