2007/12/30 - 2008/01/04
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azianokazeさん
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カンボジア全土を虐殺の墓場にしたポルポト率いるクメール・ルージュの狂気。
トゥール・スレンで拷問を受けた人々が連行され処刑されたキリング・フィールドを訪ねます。
わずか30年前のアジアで起きた現実です。
(一見するとのどかな野原に見えます。あちこちに穴が掘られていること以外は・・・)
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 航空会社
- 上海航空
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-
プノンペン郊外(南西約12km)に位置するチュンエク村は通称“キリング・フィールド”として知られています。
プノンペンの街を歩いているとバイタクやトゥクトゥクの兄ちゃんから「キリング・フィールド?」とよく声をかけられる、そんな“観光スポット”です。(距離があるので彼らにとっては、いい稼ぎになる場所でもあります。)
朝、宿泊ホテル前で待ち構えていたバイタクのおじさんが運転するバイクの後ろにまたがって向かいました。(往復で5ドル)
なかなか親切なおじさんで、珍しくヘルメットを勧めてくれます。
きつすぎるバンドも丁寧に調整してくれたりして。
道路は舗装されており、快適なツーリングが楽しめます。
キリング・フィールドに到着すると、まず慰霊塔が目につきます。 -
慰霊塔には、この地で発見された8985柱の遺骨が安置されています。
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当初トゥール・スレンでは処刑まで行われており、遺体は裏手の小学校校庭に埋められていたそうですが、処刑数が増加して手狭になったのと、処刑時の声があたりに響くことから、このチュンエク村(キリング・フィールド)に連行して処刑・埋葬するようになったとか。
キリング・フィールドは処刑センターとして、トゥール・スレン以外の収容施設からも犠牲者が送り込まれました。 -
一見するとのどかな野原の風景です。
あちこちに穴が掘られている以外は・・・。
この穴のひとつひとつから何十、あるいは百を超える遺骨が発見されています。 -
昨日昼過ぎまでトゥール・スレンを見学し、そのままキリング・フィールドをまわることも時間的にはできたのですが、1日フルに悲惨な過去に直面することがためらわれました。
また、昨日の天気がいまひとつだったので、その陰惨さが増すような気もして、キリング・フィールドは今日に持ち越していました。
今日は天気がいいため、幾分救われるところがあります。 -
慰霊塔近く、左手奥の案内板付近が、犠牲者を乗せたトラックが到着した場所です。
基本的には即日で処刑されましたが、連行される者が増加し、1日に300人を超えるようになると“処刑しきれず”、右手の手前の案内板あたりに設けられた留置所に一旦入れられたそうです。 -
どこにでもありそうな大木ですが、案内板によると“magic tree”と呼ばれた木だそうです。
処刑するとき大騒ぎするような“loudspeaker”を吊るして静かにさせるのに使ったそうです。
そう言われると、枝の高さが・・・。 -
こちらの木はもっと悲惨です。
書くのもためらわれますが、子供を叩きつけて殺すのに使った木だそうです。 -
その木の隣、小屋掛けされた場所は、百体以上の子供と女性、その多くが裸の遺体が埋められていた場所です。
処刑する側もその多くが10代の子供達でした。
子供は言われたとおりに素直に実行します。 -
この穴は、166体の“首のない遺体”が見つかった場所です。
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450体もの犠牲者が埋められていた穴。
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DDTなどの化学物質が保管されていた場所の案内板。
化学物質が使用された理由はふたつ。
ひとつは遺体からの異臭が付近で働いている人々に疑念を抱かせることを防ぐため。
もうひとつは生きて埋められた者(“処刑後もまだ息がある者”ということか?)を完璧に殺すため。 -
敷地内で草をはむ牛。
当時の人々の命が牛の命より軽かったことは間違いありません。 -
もともとこの付近はリュウガンの果樹園だったようです。
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敷地を隔てるフェンス越しにポーズをとる少女。
これは完全な営業用スマイルです。
撮影後厳しくお金を要求されます。
それを承知で撮影してお金(自分にはあまり使い道のない小額紙幣)を渡したのですが、少なすぎたようです。
貨幣価値をよく理解しきれていないため、“物価・所得水準の低い国だから・・・”と、ときに現地の人にとってもあまりに小額なお金で済ましてしまう失敗をしてしまいます。
あとで日本円に換算して、“いくらなんでも少なすぎたな・・・”と反省。 -
トゥール・スレン同様、訪れているのは外国人ばかりです。
地元の小学生などが社会見学等で来ることもあるのでしょうか?
別の日に日本語ガイドを頼んだ青年に訊くと、学校ではクメール・ルージュ時代のことは殆ど教えていないそうです。彼は、いろいろ知りたいことは図書館で調べているとか。
現在のフン・セン首相自身が元々はクメール・ルージュの一員で、ベトナムが近い東部エリアで活動していたため、“ベトナムと通じているのでは・・・という”ポルポト等の疑惑がかかるのを恐れて、また、その過激な政策に嫌気して、クメール・ルージュを離脱しベトナムへ逃げたグループのひとりです。
そんな事情があるので、あまり過去を掘り返すようなことは現政権もしたくないところがあります。
ガイド青年に「まあ、フン・セン首相も元々ポルポトの一派だったからね・・・」と言うと、笑いながら唇に指を立てて「それは言っちゃいけません。」とのこと。
どこの国でも、自国の負の歴史を直視するには勇気が必要です。 -
門をくぐってまた観光客を乗せた車がやってきました。
30年前、自らの運命を悟り押し黙った人々を乗せたトッラクが同じようにこの地にやってきました。
30年前カンボジアで起こったことが、明日私たちに起こらないという保障はありません。 -
キリング・フィールドからの帰り、バイタクのおじさんが「射撃に行かないか?」と誘います。
いろんな国で射撃場はありますが、これまで行ったことがなく、“一度試してみたい・・・”という気もありました。
ただ、“キリング・フィールドの惨劇に触れたそのすぐ後に銃を撃つのは不見識ではないか・・・”という気もして、はっきりしないでいると、「とにかく見るだけでも」と結局近くの射撃場に連れていかれました。
来てしまった以上、何もせずに引き返すわけにもいきませんので、一番手軽なハンドガンを試すことにしました。
全くその方面の知識がありませんので、何口径だったかも忘れましたがコルトです。
3種類から選べます。
7発で15ドル。
自動小銃も4種類ぐらいあって、料金は高くなります。(こちらが店のお勧め)
ここは“もぐり”でしょうが、政府公認の射撃場では手榴弾やロケットランチャーまで試せるそうです。
私は野球のボールもろくに投げられない運動オンチですから、手榴弾なんか投げたらぜんぜん飛ばずに足元に転がり・・・なんてなりそうです。 -
簡単な小屋に作られた試射場に指導役の兄ちゃんと二人で入り、撃ちます。
人殺し道具としては一番“おとなしい”部類のハンドガンですが、ずっしりとした重さがあります。
成り行きでここまできてしまいましたので、“早いとこ済ませて帰ろう”という感じで、装填も安全装置の操作も全部兄ちゃんに任せ、私は引き金を引くだけ。
恐る恐る1発目の引き金を引きます。
全身に響く衝撃、銃口から発する炎と煙、正直びっくりしました。
こんなもので撃たれたひとたまりもない・・・という当たり前のことが身にしみてわかりました。 -
“こんなおっかないもの、もういいや!”とも思いましたが、まだ6発残っていますので、とにかく兄ちゃん(写真)に全部操作してもらい、立て続けに(途中1回弾倉を交換します)撃ちます。
両手で狙いを定めても、よく言われるように衝撃で跳ね上がり、一体弾がどこへ飛んでいっているのか皆目見当がつきません。
それでも、弾の行方も確認せずにひたすら撃ちます。
7発撃ち終わる頃には、最初に感じた撃つことへの驚き・恐怖が多少薄れていたことも事実です。
人間の感性というのも怖いところがあります。 -
武器としてはもっとも“おとなしい”ハンドガンでも、そのまがまがしさは尋常ではありません。
その衝撃は、生半可な理屈を封じ、人の心を射すくめるものがあります。
銃口を向けられる前に、そのような事態にならないようにすることが肝心では。
わずか7発、引き金を引いただけですが、それはそれで無意味ではなかったようにも思います。
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この旅行記へのコメント (2)
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- SUR SHANGHAIさん 2008/01/17 11:22:43
- カンボジア編
- …は今日はここまで拝見しました。
以前、身内を引き連れてのプノンペン訪問。
トゥール・スレンに入った途端に大雷雨に見舞われて、ただでさえ異様な歴史を物語る場所で怖い思いをしました。
また、まざまざとその様子を思い出させていただきました。
人間にはこういう一面もあって、それが権力と一緒になった時には狂気の道を突っ走ってしまうんだな、と思ってしまいます。
恐れをなした同行者の希望で、キリング・フィールドも見ずに立ち去ったので、当時はフィルム・カメラだったこともあり、カンボジアは写真はあまり撮れなかった都市です。
実弾射撃場は上海の街の真っ只中のビルの中にもあって、お付き合いで行くこともあるんですが、その轟音、そして後で的に当たった弾痕を見ると、こんな小さい穴一つで人間は死ぬこともあるんだな、と実感。
実感できて初めて分かる武器の恐怖、ですね。
- azianokazeさん からの返信 2008/01/17 14:43:06
- RE: カンボジア編
- コメントありがとうございます。
いささかおどろおどろしい写真も多く、このような場にふさわしくないのかも・・・という気もしましたが。
とりたてて大声で騒ぐつもりもありませんが、一番思うのは、人間は取り巻く環境・条件次第でどこまでも残酷になれるということ、こうした残忍な行為を行ったのは決して特別なひとではなく、ごく普通に生活していた人達だということです。
ということは、自分自身が加害者にも被害者にもなる可能性があるということです。
もうひとつ付け加えるなら、こうした虐殺とか内戦とかいった悲惨な出来事が、自分達が生きている同じ時代に、世界のあそこそこで繰り広げられているという事実です。
知らなかったとか、自分には関係ないではやはりすまないものがあるのではないかと思っています。
SUR SHANGHAIさんが現在編集中のものについても、完成したら拝見したいと思っています。
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