日本と世界の凄い場所18 『日下部直起個展『刻の言葉』』:阿部和璧さんの旅行ブログ

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日本と世界の凄い場所18 『日下部直起個展『刻の言葉』』

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日本と世界の凄い場所18 『日下部直起個展『刻の言葉』』

 偶然通りかかった京都・寺町三条北にあるギャラリーヒルゲー
ト。これまでにも何度が尋ねていたその空間の窓から見えた深み
のある色合いの作品。冷やかし半分で覗いたそこには、静かだけ
れども確かに訴えかけてくる詩的世界があった。

時間の中でさび付いたものや所々剥がれ落ち変色した建物の壁。
何の期待もせず見ていたはずなのに、鍵や塔を描いた作品の中に
感じられる不思議な広がりに引き込まれていった。そんな作品の
作者は1959年生まれで京都にアトリエを持つ日下部直起(く
さかべなおき)さん。個展初日とあってギャラリーにいらした日
下部さんに作品について尋ねてみた。

5年前、イタリアへ留学をする前は海の漂着物や魚の骨などを描
いていた日下部さん。しかし昔からのテーマとしてきた「時間を
経たもの、風化したものを絵の中で甦らせたい」という思いは変
わらないと言う。実際、鍵や塔、古い建物の壁面を描いた作品に
は、構図や色合いの美しさだけではなく、モチーフ自体が語りか
けてくる深みがある。

なぜそのようなものたちを描くのかという問いには「表面的な美
しさよりも、もっと深いその奥にあるものに興味があるから」と
語られる。そこには「無駄だと思っているものたちにこそ真実が
ある。捨てられるものにこそ大切なものがある」という考えがあ
り、それに基づいて描かれたものたちが作品世界を構成する。

作品世界で甦ったものたちは、これまで経てきた時間という存在
によって見る者に語りかける。個展のタイトル「刻の言葉」とは
そういう意味で名づけられたものなのだろう。枯れた花や鍵、異
国の壁面が語りかける言葉は、ささやかでありながら詩的なふく
らみを持って見る者を不思議な世界へいざなう。

そんな世界を生み出す秘訣を「全部実際にあるもの、自分の目で
見たものを描いているから。実物の持つ力は想像力を越えている」
と教えてくれた日下部さん。これからの作品作りの方向性を「若
い時に比べ基調になる色を決めて色彩も削ぎ落とし、1個の作品
に対する密度を高めてきた。ヨーロッパに行って光と空間を意識
するようになって、まだしばらくはそこで吸収したもので作品を
作っていくと思う」と柔和な表情で語ってくれた。
(日下部直起展は09年11月8日までギャラリーヒルゲートで開催中)
ギャラリーヒルゲート ホームページhttp://www.hillgate.jp/
文化ブログよりhttp://abekaheki.blog72.fc2.com/

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  • 登録:2009年10月03日

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