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1) 旅の始めに<br /><br />              田鰻を 喰らいて魔都は 夏盛ん<br /><br />  「土用の入り」の7月27日、上海へ向かった。気温35度を超える熱風が吹く中を、聊か怯みながらの、旅立ちであった。上海に着くや、「土用の丑の日」には、鰻とばかり、早速、「南京西路」の老舗中華飯店に入り、注文した料理は、ウナギのぶつ切りを蒸した「清蒸鰻魚」である。中國では、2種類の鰻がおり、「魚偏に曼」は、日本の鰻と同じものだが、「魚偏に善」は、腹の黄色い、俗に「田鰻」(たうなぎ)と呼ばれ、江南地方で、夏場に良く食べられているようだ。<br /><br />2)甘粛省「蘭州」へ    <br />  <br />  「趙行徳」と言えば、井上靖の小説『敦煌』の主人公であるが、彼が、流れ流れ彷徨った「河西廻廊」は、「甘粛省」の乾燥地帯である。<br />  「上海」空港から、まずは「甘粛省」へは、黄河のほとりの「蘭州」空港へ向かい、そこから、高速バスで1時間、省都「蘭州」に辿り着いた。この旅の目的地は、「敦煌」だが、SARSの影響で、飛行機便が、間引きされ、結局、「蘭州」に、三日間滞在することになった。<br /><br />3)『炳霊寺石窟』へ  <br /><br />  「蘭州」から、車と船を乗り継いで、「黄河」を遡り、「劉家峡ダム湖」へ向かった。4世紀頃に造られた『炳霊寺石窟』の、「特別窟」の中でも、特別な「169窟」、「172窟」を見るため、別途300元支払った上に、梯子段を登り下りさせられ、やっとのことで、時空を越えた「西秦の艶」が、今も鮮やかに輝く仏像に、出会うことが出来た。<br /><br />4)甘粛省「敦煌」、そして『莫高窟』へ<br /> <br />  四日目、ゴビ灘に囲まれたオアシスの街「敦煌」へは、飛行機で向かった。「敦煌」は、北京時間であるため、午後8時半でも、明るく、「鳴沙山」に向かう砂の上に長く延びたラクダの背にまたがる己の影の面白さを、何度も自撮りしていた。<br />  この地での圧巻は、やはり『莫高窟』である。然し、この石窟は、厳重に管理されており、見学者には自由はなく、撮影も全面禁止である。一定の見学者が集まると、ガイドの後ろに付いて石窟に入り、石窟内ではガイドの後ろにへばり付いて、5、6箇所の石窟を見て、見学は終了した。<br /><br />5)「ゴビ灘」を行く<br /><br />  再び、「ゴビ灘」を走り、その真っ只中で車から降り、しばらく歩くと、『西千仏洞』があった。ここでは、勝手に見て回るルーズさを楽しみ、覗き込んだり、手で触ったりすることが出来、正直、とても楽しかった。<br />  王維の「西陽関を出ずれば故人無からん」と、詠われた『陽関』や、『玉門関』、『漢代の長城跡』、『河倉城』は、いずれも兵どもの夢の跡であり、ゴビ灘の真っ只中で風雪に耐える遺跡を辿りながら、歴史の面白さを、改めて、僕は楽しんでいた。<br />  「きれん山脈」で採れる奇石を加工した杯の透き通った部分に陽が当たると輝く「夜光杯」の、製造工房を見学した。「葡萄の美酒、夜光杯、飲まんと欲して、琵琶馬上に催す」と言う「七言絶句」を、高校時代、漢文教師が、節を着け、詠い始めたその時の授業風景を、僕は思い出していた。 <br /><br />6)旅の終わりに<br />  <br />  上海では、SARSも乗り切った、逞しき上海人の知恵と度胸が、ぶつかり合うホットな戦いが、賑やかに繰り広げられていた。嘗て「倭の国」と呼ばれていた我が母国の若き先兵達が、その中で揉まれながらも、行くも地獄、留まるも地獄とばかり、暑さの中、ワイシャツにネクタイの背広姿で動き回る姿に、僕は聊か同情しつつも、何故かとても嬉しくもあった。(完)<br /><br />* Coordinator:  H. Gu                                  <br /><br />                            <br /><br />                                   <br /><br /><br /><br /><br /><br />--------------------------------------------------------------------------------<br />

【甘粛省】  敦煌 * 河西回廊を 旅する

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2003/07/27 - 2003/08/02

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彷徨人MU

彷徨人MUさん

1) 旅の始めに

              田鰻を 喰らいて魔都は 夏盛ん

  「土用の入り」の7月27日、上海へ向かった。気温35度を超える熱風が吹く中を、聊か怯みながらの、旅立ちであった。上海に着くや、「土用の丑の日」には、鰻とばかり、早速、「南京西路」の老舗中華飯店に入り、注文した料理は、ウナギのぶつ切りを蒸した「清蒸鰻魚」である。中國では、2種類の鰻がおり、「魚偏に曼」は、日本の鰻と同じものだが、「魚偏に善」は、腹の黄色い、俗に「田鰻」(たうなぎ)と呼ばれ、江南地方で、夏場に良く食べられているようだ。

2)甘粛省「蘭州」へ    
  
  「趙行徳」と言えば、井上靖の小説『敦煌』の主人公であるが、彼が、流れ流れ彷徨った「河西廻廊」は、「甘粛省」の乾燥地帯である。
  「上海」空港から、まずは「甘粛省」へは、黄河のほとりの「蘭州」空港へ向かい、そこから、高速バスで1時間、省都「蘭州」に辿り着いた。この旅の目的地は、「敦煌」だが、SARSの影響で、飛行機便が、間引きされ、結局、「蘭州」に、三日間滞在することになった。

3)『炳霊寺石窟』へ  

  「蘭州」から、車と船を乗り継いで、「黄河」を遡り、「劉家峡ダム湖」へ向かった。4世紀頃に造られた『炳霊寺石窟』の、「特別窟」の中でも、特別な「169窟」、「172窟」を見るため、別途300元支払った上に、梯子段を登り下りさせられ、やっとのことで、時空を越えた「西秦の艶」が、今も鮮やかに輝く仏像に、出会うことが出来た。

4)甘粛省「敦煌」、そして『莫高窟』へ
 
  四日目、ゴビ灘に囲まれたオアシスの街「敦煌」へは、飛行機で向かった。「敦煌」は、北京時間であるため、午後8時半でも、明るく、「鳴沙山」に向かう砂の上に長く延びたラクダの背にまたがる己の影の面白さを、何度も自撮りしていた。
  この地での圧巻は、やはり『莫高窟』である。然し、この石窟は、厳重に管理されており、見学者には自由はなく、撮影も全面禁止である。一定の見学者が集まると、ガイドの後ろに付いて石窟に入り、石窟内ではガイドの後ろにへばり付いて、5、6箇所の石窟を見て、見学は終了した。

5)「ゴビ灘」を行く

  再び、「ゴビ灘」を走り、その真っ只中で車から降り、しばらく歩くと、『西千仏洞』があった。ここでは、勝手に見て回るルーズさを楽しみ、覗き込んだり、手で触ったりすることが出来、正直、とても楽しかった。
  王維の「西陽関を出ずれば故人無からん」と、詠われた『陽関』や、『玉門関』、『漢代の長城跡』、『河倉城』は、いずれも兵どもの夢の跡であり、ゴビ灘の真っ只中で風雪に耐える遺跡を辿りながら、歴史の面白さを、改めて、僕は楽しんでいた。
  「きれん山脈」で採れる奇石を加工した杯の透き通った部分に陽が当たると輝く「夜光杯」の、製造工房を見学した。「葡萄の美酒、夜光杯、飲まんと欲して、琵琶馬上に催す」と言う「七言絶句」を、高校時代、漢文教師が、節を着け、詠い始めたその時の授業風景を、僕は思い出していた。 

6)旅の終わりに
  
  上海では、SARSも乗り切った、逞しき上海人の知恵と度胸が、ぶつかり合うホットな戦いが、賑やかに繰り広げられていた。嘗て「倭の国」と呼ばれていた我が母国の若き先兵達が、その中で揉まれながらも、行くも地獄、留まるも地獄とばかり、暑さの中、ワイシャツにネクタイの背広姿で動き回る姿に、僕は聊か同情しつつも、何故かとても嬉しくもあった。(完)

* Coordinator:  H. Gu









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同行者
一人旅
交通手段
タクシー 徒歩 飛行機
旅行の手配内容
個別手配

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  • 甘粛省 蘭州<br /><br />黄河に掛かる「黄河第一橋」

    甘粛省 蘭州

    黄河に掛かる「黄河第一橋」

  • 甘粛省 蘭州<br /><br />   「羊の皮の浮袋を着けた筏」の説明書

    甘粛省 蘭州

       「羊の皮の浮袋を着けた筏」の説明書

  • 甘粛省 蘭州   「劉家峡ダム湖」<br /><br /> 「蘭州」から、車と船を乗り継ぎ、「黄河」を遡り、その上流にある【劉家峡ダム湖】の辺まで出かけた。<br />

    甘粛省 蘭州   「劉家峡ダム湖」

     「蘭州」から、車と船を乗り継ぎ、「黄河」を遡り、その上流にある【劉家峡ダム湖】の辺まで出かけた。

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    甘粛省 蘭州   「劉家峡ダム湖」

       「炳霊寺石窟」の入り口  

      4世紀頃に造られた「炳霊寺石窟」がある。その中に、特別窟の中の特別と言われる「169窟」、「172窟」があり、それを見るための、特別料金は300元である。

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    甘粛省 蘭州

          「劉家峡ダム湖」

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    甘粛省 蘭州

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    甘粛省 蘭州

         「劉家峡ダム湖」

  • 甘粛省 「敦煌」での夕食<br /><br />

    甘粛省 「敦煌」での夕食

  • 甘粛省 「敦煌」での夕食<br />

    甘粛省 「敦煌」での夕食

  •  甘粛省 「敦煌」での昼食<br /><br />        中華肉うどん<br />

     甘粛省 「敦煌」での昼食

            中華肉うどん

  • 甘粛省 「敦煌」での夕食<br /> <br />

    甘粛省 「敦煌」での夕食
     

  • 甘粛省 「敦煌」での夕食<br /><br />          「前菜6品」<br />

    甘粛省 「敦煌」での夕食

              「前菜6品」

  • 甘粛省 敦煌<br /><br /><br />「莫高窟」入り口付近

    甘粛省 敦煌


    「莫高窟」入り口付近

  • 甘粛省 敦煌<br /><br />「莫高窟」のシンボルである「九層楼」

    甘粛省 敦煌

    「莫高窟」のシンボルである「九層楼」

  • 甘粛省 敦煌<br /><br />   「鳴沙山」

    甘粛省 敦煌

       「鳴沙山」

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    甘粛省 敦煌

        「鳴沙山」

  • 甘粛省 敦煌<br /><br /><br />  「鳴沙山」、午後8時半頃、砂漠に写る、駱駝に乗る自分の影

    甘粛省 敦煌


      「鳴沙山」、午後8時半頃、砂漠に写る、駱駝に乗る自分の影

  • 甘粛省 敦煌<br /><br /><br />    「鳴沙山」

    甘粛省 敦煌


        「鳴沙山」

  • 甘粛省 敦煌<br /><br /><br />    「鳴沙山」

    甘粛省 敦煌


        「鳴沙山」

  • 甘粛省  敦煌<br /><br /><br />  「ゴビ灘」の脇を流れる「党河」の断崖に作られた「西千仏洞」の入り口付近

    甘粛省  敦煌


      「ゴビ灘」の脇を流れる「党河」の断崖に作られた「西千仏洞」の入り口付近

  • 甘粛省 敦煌<br /><br /><br />  「玉門関」(漢朝の西端の関所跡)

    甘粛省 敦煌


      「玉門関」(漢朝の西端の関所跡)

  • 甘粛省 敦煌<br /><br /><br />  「玉門関」(漢朝の西端の関所跡)

    甘粛省 敦煌


      「玉門関」(漢朝の西端の関所跡)

  • 甘粛省 敦煌<br /><br /><br />  「玉門関」(漢朝の西端の関所跡)

    甘粛省 敦煌


      「玉門関」(漢朝の西端の関所跡)

  • 甘粛省 敦煌<br /><br />  <br />  王維の詩「西、陽関を出ずれば、故人なからん」と詠われた「陽関」跡

    甘粛省 敦煌

      
      王維の詩「西、陽関を出ずれば、故人なからん」と詠われた「陽関」跡

  • 甘粛省 敦煌<br /><br /><br />  漢代遺跡の「河倉城跡」(武器庫)

    甘粛省 敦煌


      漢代遺跡の「河倉城跡」(武器庫)

  • 甘粛省 敦煌<br /><br /><br />    漢代の「長城跡」

    甘粛省 敦煌


        漢代の「長城跡」

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