Australias Top End (3) 先住民アボリジニについて(少しだけ)知る
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オーストラリアはこれまでに何度も訪れているのですが、先住民アボリジニの人たちのことを聞いたり、姿を見かけたことはほとんどありませんでした。
1988年にアリススプリングスを訪れたときに、木陰で車座になって座っている女性たちを見かけたくらい。
あまりに姿が見えないので、逆に気になっていました。
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<注>「アボリジニ(Aborigine)」という言葉は不適切だとして、最近オーストラリアでは公の場では、「アボリジナル(Aboriginal)」という言葉が使われるようになってきているそうです。が、今回現地でまだ前者の言葉が普通に使われている(ようだった)ことと、日本語ではこのほうがぴんと来ると思うので、とりあえず、この旅行記では使わせていただきます。(そのうち、変えるかもしれません)
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アボリジニの人たちは、白人が来る前は700部族、250言語にわかれ、75万人ほどがオーストラリア全土に暮らしていました。
しかし、白人によって住む土地や水飲み場を奪われ、殺され、そして白人が持ち込んだ性病や感染症によって、ばたばたと亡くなり、6万7000人にまで激減。タスマニアでは1876年に絶滅・・・。
その後、保護政策によって人口は少しずつ回復し、今では混血の人も含め、アボリジニを自認する人は50万人ほど、オーストラリアの全人口の2%となっています。アボリジニの比率が高いのが、西オーストラリア州と、ノーザンテリトリー準州です。
アボリジニは狩猟・採取民族で、独特の文化を持っています。一定のなわばりを移動して暮らし、自分たちの土地や自然のことを熟知し、独自の死生観や土地概念を持っています。近親交配を避けるために、結婚に関しては複雑なルールがあります。しかし、こうした独特の文化が白人には到底理解できず、「意味もなくうろついて定住もしない、農業もしない、文字も法律も持たない、裸同然で暮らす野蛮人」、さらには「彼らは人間ではない、だからここは所有者の誰もいない“無主地”だ、だから我々が所有してもいいのだ」と見なされてしまいました。
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写真はアボリジニ画家、Sally Morganの「Another Story」という作品。白人の生活は多くのアボリジニの犠牲の上にあるというメッセージがこめられている。
(国際交流基金主催、理解講座「オーストラリアを知る」より) -
現在、オーストラリア政府は先住民との和解を進めていますが、文化的な違いが大きいので、なかなか難しいようです。
たとえば、ボーキサイトの鉱脈が見つかり、企業や政府が開発したいと思っても、そこが先住民の人たちの「神聖な場所(sacred site)」であるため、開発に反対されたり。
ある白人ガイドが話してくれました。
「移民として新しくオーストラリアに来た人たちのほうが、私たちとずっと考え方が似ている。アボリジニの人たちの考え方は、あまりに違う。たとえば、私たちはお金は大切だと思っているが、彼らはそうではない。お金をもらっても、人にあげてしまったりする。彼らとどうやって折り合いをつけていくのか、まだ答えは出ていない・・・」
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写真はカカドゥ国立公園内のロックアート。カンガルーを狩る様子が描かれています。
ロックアートについては、「Australias Top End (8) ノーランジー・ロック」の旅行記をご覧ください。 -
自分たちの生活や文化を紹介しているアボリジニの村がダーウィン近郊にあると聞き、今回ぜひ訪問したいと思っていました。ところが、現地に着いてみると、雨季のシーズンオフのため休業中でした。がっかり・・・。
そこで、観光案内所で見つけた、「アボリジニ文化を知る半日ツアー」というのに申し込みました。主催は、Unique Indigenous Tours。料金はA$88.
クチコミ情報でも紹介しましたが、ここはオーストラリア初の、先住民アボリジニによるツアー会社。
2004年4月に、ララキア族によって設立されました。料金は一般のツアーより高めですが、6人までの少人数制な上、ツアーによっては、普通は入れない先住民の居住区に立ち寄り、先住民の話を聞くことができる由。
私たちは、この会社初の日本人客だと言われました。
http://www.wikiaustralia.com/tour/9038695/ -
ツアーに参加したのは、ダーウィン滞在4日目。
9:15にホテル前でピックアップしてもらいました。
この日のツアー客は私たち2人だけ。
おかげで、気軽にいろいろと質問することができました。
まず、Darriba Nungalinya、別名(オールド・マン・ロック、Old Man Rock)という島がよく見えるスポットへ。(写真)
この島はアボリジニの人たちにとって、聖なる場所(sacred site)なのだそう。
このあたりの土地を創造したRainbow Serpent(虹色の大蛇)が、創造作業を終えた後、島で眠りについていて、人間が悪さをしたり、勝手に島にやってくると大蛇が目を覚まし、天災などを引き起こすと信じられています。そのため、島に上陸するときには、ちゃんと儀式を執り行える人たちがまず独特の声を出し、「行きますよ」という合図を出してから、島に上がるのだそうです。 -
黒いカッカトゥーの鳥。
白いのは広くオーストラリア全土にいますが、黒いのは、この周辺にしかいないとのこと。
アボリジニの人にとっては、神聖な鳥です。
オスとメスとで尻尾の色が違うとのこと。(たしかオスが赤で、メスが黄色だったような・・・・)。 -
上と同じ写真ですが、今度は葉っぱのほうに注目してください。
葉っぱ同士がくっついている部分は、アリの巣です。
中にいるのはグリーン・アンツ(green ants)、別名ビタミン・アンツ(Vitamin ants)。
アボリジニの人たちは、この巣に静かに近づき、ぱっと手でつかみます・・・ -
こちらはBillygoat plumという実。
オレンジの90倍のビタミンCが含まれています。これでビタミンC補給をします。
食べ慣れていない人が食べると、トイレから離れられなくなるそう。
少しだけかんでみましたが、苦かったです。 -
Rotten cheeseという実。下痢に効くのだそうです。
このほか、写真はありませんが、葉に蚊よけ効果があるTurkey bushという木も見せてもらいました。
Bush medicineと呼ばれる、薬草を使ったこうした治療においては、アボリジニは世界一だといわれています。 -
スイレンの葉っぱ。
撥水効果が高いので、傘として利用します。
(カカドゥ国立公園のイエローウォーターで撮影)
このほか、木の枝から槍や絵筆を作れることも見せてもらいました。
白人たちが、「こんな不毛な土地には絶対住めない!」と「Never-never Land(ネバーネバーランド)」と名づけた大地も、
先住民にとっては生活に必要なものがすべて手に入る、恵みの大地でした。 -
同じ株に、黄色とピンクの花がついているのが、わかるでしょうか。
この花は、午前中はピンク色、午後になると黄色に色が変わるのだそう。
そして、黄色に変わると、有毒になるのだそうです!
花の名前は・・・、すみません、忘れてしまいました。
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ララキア族の作業所を訪ねました。
ララキア族は、現在のダーウィン周辺に元々住んでいた部族です。
現在ララキア族を自認する人は1600人余りだそうです。
アボリジニの人たちは失業率も高く、アルコールや麻薬中毒者になってしまう人も少なくありません。
こうしたことを防ごうと、ララキア族の8つの親族(clan)が力を合わせて、この作業所を作りました。 -
こちらは男性の工房。許可をもらって、写真を撮らせてもらいました。
こちらの作品のレベルは高いと思いました。
座っている男性は画家。「日本? 札幌に行ったことがあるよ。日本の先住民の人たちに会ったよ」と話してくれました。
右側に立っている男性が、この日の私たちのガイドでした。
彼もララキア族の男性。中国系の血が入っていて、カトリック系の学校を出ているそう。 -
工房前にあったオブジェ。
アボリジニとフランス人の混血という女性が説明をしてくれました。彼女は、外見は全く白人。
工房には、ほかに作業中のアボリジニの女性が数人いましたが、とてもシャイなようで、ほとんど言葉を発しず、にこりともしません。
でも、一人だけ私たちににっこりとほほえんでくれました。何となくうれしかったです。 -
寄付の意味もこめて、カードを購入しました。6枚セットで22ドル。
このほか、アボリジニの人たちの中学・高校、アボリジニ教員養成のための大学、アボリジニの老人ホームや墓地の前も通りました。写真は撮れなかったのですが。
墓地は青々とした芝生が広がった土地で、墓石など何もないので、言われないと墓地だとはわかりません。
お墓は遺体を埋葬した後、周りにぐるりと杭を何本か立てるのだそうです。
杭が立っている間、魂はその杭の範囲内にとどまっています。年月が経ち、杭が朽ちてなくなる頃、魂は行くべきところに行っている・・・と信じられています。
ララキア族はいわゆる「都市型のアボリジニ」で、白人との接触が多かったので、文化がかなり失われてしまったそうです。最近では、白人との接触が少なく、文化が残っている「辺境型」の近隣部族に聞いて、少しずつ自分たち独自の文化を取り戻す努力をしているそうです。 -
ツアー最後にダーウィン郊外にある、チャールズ・ダーウィン国立公園に寄りました。
公園から見たダーウィン市街。
今回ダーウィンに行き、初めて、ほんの少しだけですが、アボリジニの人たちの文化を知ることができました。
たしかに、私たちが知る西洋的な考え方とは、ずいぶん異なると感じました。「西洋文化は自然を征服する文化」といわれますが、アボリジニの人たちの文化は、自然と共存・・・などという程度のものではない、まさに自然の一部と化している文化だと感じました。
お金、物、教育、西洋医学など、私たちが当然価値があると思っていることも、彼らにとっては価値のないこと。そういう価値観や考え方もあったのか、とカルチャーショックさえ感じました。
オーストラリアは動物も独特ですが、人々の考え方も独特なものが発達していったと思いました。
また、一口に「アボリジニ」と言っても、部族ごとに考え方も文化も現在の状況も、ずいぶん異なるということを知りました。白人と接触が多い部族と、白人と全く接触を持たず昔ながらの生活を維持している部族。写真を撮られることを嫌ったり、部族の人が亡くなると、しばらくはその人の名前を口にしたり写真を飾ったりしてはいけない、という部族もあります。
実に独特、また部族ごとに多彩で、奥の深い文化だと思いました。 -
<おまけ>
オーストラリアで大ヒットし、日本でも2005年に公開されたオーストラリア映画「はだしの1500マイル」のチラシと原書(Follow the Rabbit-proof Fence)。
白人の入植後、アボリジニと白人の混血の子供が増えたので、白人政府は子供たちを白人社会に適応させるため、強制的に親から引き離して施設に入れる政策を採りました。「盗まれた世代(stolen generation)」と呼ばれる世代です。
映画は1931年、親元から引き離され、パース近郊の施設に入れられた3人の少女が、2400キロの道のりを90日間、水も持たず、追っ手をかわしながら、はだしで歩き続け、ついに親元に帰りついたという実話に基づいています。
<おまけのおまけ>
カカドゥ国立公園内に、Warradjan族の文化を紹介したセンターがあります。
自然に溶け込んだ生活の紹介、部族間の結婚に関する複雑なルールなどが、視覚的、立体的で、わかりやすく展示されています。
先住民文化に興味がある人には、お勧めします。
なお、説明は英語のみ。
また、この部族は写真を嫌うので、センター周辺も含め、写真撮影は一切禁止なので、注意してください。
http://kakadu-attractions.com/warradjan.htm
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