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コタ・キナバル 賭博詐欺未遂事件 (注意:長〜い文章です!!) - コタキナバルのクチコミ

Chameleon_Journeyさん 写真

Chameleon_Journeyさん
女性 / コタキナバルのクチコミ : 1件
旅行時期 : 2011/09(約13年前)

事件は、この写真を撮った直後に起きました。

事件は、この写真を撮った直後に起きました。

それは、コタ・キナバル市内で過ごす最後の夜に起きました。

早めの夕食を済ませウォーターフロントを歩いていると、すれ違いざま中年女性2人組が英語で話しかけてきた。「そのスカートどこで買ったの?」「バンコク」「カオサン?やっぱり!私もよく行くから分かるの」…この会話がすべての始まりだった。

なんでもこの中年女子二人は、バリ島在住のインドネシア人で、従妹同士。コタ・キナバルで働く片方の弟に会いに、親戚一同でバカンスがてらにやって来て、今ウォーターフロントで別行動を取っている従兄と待ち合わせをしていんだという。

私が日本の大阪から来たと聞くと、尽かさず「奇遇ね、妹が来月奈良に留学するの」と切り出した。「母が一人で外国に行く娘のことを大変心配している。奈良がどんなところか母に聞かせてやってくれない?心臓病も抱えているから安心させてやりたいの」ときた。
怪しいな〜と思い、適当にその場やり過ごすつもりだった。「会うのは今日も明日も無理。日本は何だかんだ言っても治安はいいから過度な心配しなさんなと伝えてね、じゃ〜」と逃げようとすると、この女、誰かに向って手を振った。待っていた従兄人組みがやってきたと。一人は中年女子の兄で、もう一人は従妹の弟だと言った。

この兄、クタのハードロックカフェでバンドマンをやっていると言った。中年女子がこの兄に、私が母親に会って日本の話をするのを断ったことを話すと、兄は「30分だけでいいから。お願いするよ。本当に体調崩しているのだからさ〜」と執拗にせがんできた。
 
一人旅をするようになって幾久しい。今まで、この手の誘いには絶対に乗ったことがない。今になっても何故だろうと不思議に思う。こんなにいかにも怪しいのに...。普段から海外に女一人旅をする自分にとって、両親に散々心配をかけてきたことへの後ろめたさからなのか、この母親を慰める30分くらいいいじゃないかという気になってしまい、もう一人の従兄が用意した車で母親の元に行くことに同意してしまった。
 
母親は、ここから車でわずか10分ほどの中年女子の弟宅にいるという。兄が大の長淵ファンで、車中で「乾杯」を日本語で大合唱、異常な盛り上がりだった。バンドマンと言うだけ、なかなか板に付いた歌いっぷりだった。ほどなくして車は到着。下ろされたところは閑静な住宅街で、中流階級が住むエリアのよう。2階だての民家の扉をあけると、大きなリビング&ダイニングルームが広がっていた。この家の主である弟が出迎えた。彼の名はALEX。驚くほど流暢な英語だ。ALEXは私をリビングのソファーに座らせ、オレンジジュースにお手製のミーゴレン(焼きそば)を振舞ってくれたが、夕食済みのため謝絶した。

さて、この青年、カジノのディーラーをしているという。ベガス、シンガポール、マカオ、ゲンティンハイランドと渡り歩き、コタ・キナバルにやってきたとか。たまに船上カジノのディーラーも務め、なんでも来年は、新作ゲームの発表を船上で行い、日本の海域付近まで行くから、私をVIP待遇で招待してやると言ってきた。やっぱり怪しい〜。ふとダイニングテーブルに横目をやると、中年女子二人が、してやったりという顔をしながら超下品に煙草を吹かしこちらを見ている姿が飛び込んできた。やってもうたぁ〜!…と思ってもそれは後の祭り。もうここは冷静になって、無事に戻れるようタイミングを探るしかない。こちらが疑っていることを悟られないようにしながら…。

そう言えば、母親はどうなったの?と尋ねる。中年女子、心臓発作で病院で手当てを受けているが、いつものことだから時期に戻る、もう少しだけ待っていてときた。悔しいが奴らに返してもらわなきゃ、もと来た道すら分からない。仕方なく、ALEX青年の話の続きを聞くことにした。

船上カジノの招待を受けても、そもそもカジノの遊び方がわからんと言うと、尽かさず、教えてやるときた。ALEXはもうすぐ従兄の子供たちが来て、1階はさわがしくなるからと、場所を2階へ移そうと言いだした。この状況では従わざるを得ないので黙ってついて行った。部屋はセミダブルのベッド一つに、書斎机の他なにもない。ALEXと私は机を挟んで座り、私の隣には中年女子一人が座った。ALEXは、戸棚からジュラルミンケースを取り出し、開けるとチップが並んでいた。チップを数枚取り出し、どうやって賭けるのかをブラックジャックを例に説明した。私は、練習のゲームが一回終わる度に、「で、君の母さんはどこなの?私がここに来た目的は日本の話をするためでしょ?」と繰り返し、中年女子はもうすぐ病院から戻るからの一点張りだった。

さて、ALEX。船上に招待した暁には、数十万円分のチップも用意し、私に必ず勝たせてやるときた。彼がディーラーを務めるゲームに私をゲストとして招き、アイコンタクトを送るから、言われたとおりにしたら絶対勝てるというのだ。彼のアイコンタクト、これがド素人が見ても見破るだろう?というような幼稚なもので、内心笑えてきた。なんで、今日会ったばかりの私にそんなに親切なのかと尋ねると、私に勝たせるのは儲けの8割を自分が頂くためだからだと答えた。もちろん2割は私にというセリフも忘れずに。そもそもディーラーやカジノの客は、そこかしこに設置されたカメラで一部始終を監視されて、顔も割れている。ディーラーの家族や親しい友人は、絶対呼べない、でも儲けたいというのがALEX青年の主張。

「悪いけど賭博には一切興味がない。一攫千金なんて考えたこともない。仕事をしながら、たまに好きな旅ができれば私はそれで十分幸せだから、船上カジノの招待は断る。君の母さんは?戻る見込みがないなら、30分の約束なのだから元の場所に返して」と言ってやった。ALEXは、「まぁまぁ〜そう焦らず。来年の春までたっぷり時間があるのだし、君にとって悪い話じゃないのだから、考えてみてよ。招待状おくるからメルアド教えて」と言い、自分のメールアドレスと携帯の番号を私に渡した。私もとりあえず、どうでもいいフリーメールを書いて渡すと、チップをケースに仕舞、すんなり1階に下ろしてくれた。下りると、中年女子が深刻な面持ちで、「母親が緊急手術を受けることになった。アナタを送ってから、病院に向かう」と言って、中年女子2人と従兄1名は私を車に乗せた。車の中から、開けっぱなしの玄関の向こうでALEXがもう一人の従兄と話し込む姿が見えた。

発車すると、中年女子1人が、「この国の手術代はとても高い。カンパしてくれない?100リンギットでもいいから」と泣きついてきた。この日、私は幸いにもパスポート、クレジットカードをはじめとする全ての貴重品をセキュリティーボックスに預けていて、わずか現金50リンギットほども持ち合わせていなかった。それに何よりこの胡散臭い一味にカンパする義理はどこにもないので、当然拒否。女は「人命がかかってるのよ!10リンギットでも駄目なの?」と逆ギレ。それでも、ないからと断った。もう一人中年女子は、白々しくオイオイと泣いていた。車窓から、見慣れたショッピングセンター「ウィスマ・サバ」が見えた。ここまで来れば、もう一人で帰れる!私は、ここで降ろしてと頼むと、夜道は危ないホテルまで送ると言った。

とんでもない!宿まで知られちゃタマランと、コンビニにもよりたいし、まだまだ人もいっぱいあるいているから大丈夫!と断ると、運転手の従兄がここでいいならどうぞとドアを開けてくれた。中年女子2人は、私に手を振り、車は南東の方向に走り去って行った・・・時計を見ると21時15分。あの家に2時間ほどいたことになる。

私は無事に宿に戻った。幸いにも、私の身には何にも起こらなかった。でも、その日の夜も、次の日の夜もどうもシックリいかない。奴らは絶対私に何かする魂胆があったはず、でも結果的に軽食を振舞い、カジノの遊び方を伝授しただけに終わった。なんですっと返してくれたのだろう?あまりに不思議で、あの2時間が本当に自分の身に起きたことなのか確信が持てなくなるほどだった。

ボルネオ島最後の夜、スマートフォンのブラウザに、「ALEX 賭博・・・」と関連語句を入れて検索すると、同じ手口で声をかけられ、実際に賭博行為に及び身包みを剥がされた人の情報がワンサカと出てきた。一番驚いたのは、ALEXが私に渡したメルアド。詐欺にあったある投稿者が掲載していたものと同一だった。通常、ゲイやブルネイの貴婦人などの人物が登場し、彼らと賭けをする羽目になり、クレジットカードでキャッシングをさせられたり、金属製品を買わされ質屋に入れられるなどしてお金を巻き上げられるようだった。・・・恐ろしくなった。よくぞ無傷で帰って来られたものだと思った。同時に、あまりにも迂闊で、浅はかだった自分を夜通し反省し、ボルネオ最後の朝を迎えた。


皆さま、ボルネオにもフィリピン人と思われる賭博集団の手は及んでます。
今回、私は幸いにも無事でしたが、多くが多額の金額をだまし取られているようです。
本当に迂闊でした。反省しています。
ボルネオを旅される方の参考になればと、恥を忍んで情報提供いたします。

治安情報
1.0
ボルネオ島にもフィリピン系詐欺集団が来てますよ!
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