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 【安徽省】 九華山 * 旅する

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彷徨人さん 写真

彷徨人さん
その他の都市の旅行記 : 1
旅行時期 : 
  • 2004/03/24 - 2004/03/30
  • (約8年前・7日間)
エリア : 
中国>安徽省>その他の都市
テーマ : 
遺跡・史跡・歴史
投稿日 : 
2011/12/29(約5ヶ月前)
写真 : 
9
コメント : 
0
旅の満足度 : 
評価なし
観光 : 
評価なし
ホテル : 
評価なし
グルメ : 
評価なし
ショッピング : 
評価なし
交通 : 
評価なし
交通手段 : 
  • 現地移動 :  鉄道 / 高速・路線バス / 飛行機
同行者 : 
一人旅

【安徽省】 九華山 * 旅する

          

                田一枚  残して谷間  菜の明かり


   午前7時の上海発安徽省の【銅陵】行きの特急は、清明節の墓参りに向かう人で満員であった。
 
   長江(揚子江)の南、江南地方は、いまや菜の花盛り、まさに杜牧の“江南春”を絵に描いたような季節であったが、四大仏教霊地の一つである地蔵尊を本尊とする安徽省の【九華山】は、木々の新芽がやっと芽吹き、朝晩はまだ寒く火の恋しい季節であった。

  7時間ほどで安徽省の【銅陵】に到着した。駅近くのバスターミナルで、バスに乗り、市街地を抜けると、山道に入った。朝早かったので、やがて僕は寝込んでしまった。ざわめきで目が覚めると、2時間半ぐらいのバスの旅で、九華山の麓に到着した。バスを下り、入り口で90元の入山料を支払い、ありがたき、霊地九華山に足を踏み入れることが出来た。
   九華山は新羅の皇族の一人が出家して開山した山であるので、韓国からの観光客が多く、今や中国の観光地では当たり前のごとく見られる日本語は、ここではどこかに追いやられ、やたらハングル文字が目立つのである。
辺りを見回せど、わが同胞は珍しく見当たらず、それはそれでまことに心細い寂しき第一歩であった。
   日本でいえば高野山のようなところで、観光はもっぱらお寺めぐりをするのである。文化大革命で壊滅的に痛めつけられた仏教界は、開放改革後はその回復も早く、今や現世的なご利益を求める善男善女で門前市をなす有様である。
   この霊地には、高僧の即身仏(ミイラ)が多くあり、金粉を塗ったミイラを拝みながらのお遍路となる。聞くところによると、死を覚ると、陶器の壺の中に入り、亡くなると、完全密閉し、3年余経過すると、悟りし者はミイラになるとのことであった。
   しかしこの山では、法界坊もかくありきとばかり、法衣のしたから派手なトックリのセーターをのぞかせ、大きな欠伸をしながらの夜の勤行、本尊の前で朋輩とニタニタ笑いながらの大声での談笑、義捐者名簿の石板に名前を彫るには喜捨金は200元以上ですよ、などと商人顔負けの売り込みなどは、おそらく鑑真和上が来日するまでの日本の仏教会でさえここまではと思われるような有様であった。
   とは言え、もちろん僕も、倭の国は某地方の小商人の倅、ひたすらその喜捨金を値切り倒し、恥じらいも無く石板に、【日本国尾州 彷徨人】(実際は、本名を彫ってもらったのだが)と、しっかりと彫らせたのである。
   
   下山後、まずは南京のひとつ上海よりにある【鎮江】という街に向かい、かつて明の時代に雪舟がこの地にある【金山寺】を二度訪れ、八角七層の塔を描いた【金山寺】を訪れた。この地はまた鑑真和上の故郷揚州とは長江を挟んで対岸に当たるのだが、遣唐使の帰国船に便乗して6回目の渡日を計画した鑑真和上と一緒に帰国することになった、在唐36年の阿部仲麻呂が故郷を思う、あの有名な“あまのはらふりさけみればかすがなるみかさの山にいでし月かも”であるが、その後長江の流れも変っているので、確かなことは解らないが、この時の出発点が、鎮江の【焦山】の山上から見える辺りなのだろうか。いずれにしても、この歌の歌碑の前に立ち、遠くに霞んで見える長江を眺めながら、結局帰国することの出来なかった仲麻呂の心中を思い描いていたのだ。

  上海と南京のほぼ中央に太湖があり、その湖畔にある蘇州の太湖を挟んだ向かい側に【宜興】という陶都がある。常滑焼のような朱色の急須の焼き物(紫砂陶)で有名な街であるが、中国では『紫泥新品 春華を泛(うか)ぶ』と詠われ、この小さき茶器に数万ドルも出す人がいると聞いたのだが。僕がこの地で求めたものは、“連年召余”二匹の金魚が泳ぐさまを彫り込んだもの、この小さき茶器で、穏やかな時を楽しみたいとの思いでの買い物であった。

   蘇州では水郷の街の路地を歩き廻り、7年前京都を案内した蘇州美人と、漁米の郷の料理、それに老酒との三位一体の時に酔い、菜種梅雨にしぐれる上海では、終日雨の上海の街を眺めながら、ただひたすら酩酊の時を重ねていたのだ。

   そして、日本に到着後、空港で、若い職務熱心な税関の職員は、パスポートの記録が中国一色の出入国を繰り返す人相風体のあまり良からぬ僕を、きっと何かがあると踏んだのであろうか、鞄の中をくまなくかき回し、最後に一言“お疲れ様でした”と言って帰国を歓迎してくれたのだが。誰が見ても、僕の旅は、まことにお疲れ様でしたと言うことなるのであろう。

   8日間ばかりの旅からの家路への途中、家近くの川沿いの人っ子一人いない夜桜の妖艶さにはっとさせられながらも、思いもせぬ満開の桜は、乾燥した大陸の旅での渇きを、一気に潤すかのような気分にさせてくれるのであった。




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    車窓から眺める江南の春の風景

                  田一枚 残して谷間 菜の明かり

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    上海からの列車での風景。僕の前に坐っている祖母と孫。

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    銅陵の駅近くのバスターミナル

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    初日の九華山での夕食

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    九華山の風景

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    九華山の風景

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    九華山の風景。

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    陶器の壺は、死を覚るとこの中に入り、亡くなると完全密閉し、3年余経過すると、悟りし者はミイラになるとのこと。

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    九華山二日目の夕食

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